インドから帰国して⑩日程経った。まあ色々と楽しい旅で、ごちゃごちゃ整理し
ようと思ったけど、どうまとめようにも難しいので時系列的に旅の過程を何度か
にわたって書き殴って行こうと思う。
今回の旅のルートは初のインド旅の王道とも言うべきルートで、デリーから入り
、ジャイプルやアグラ等観光都市を行き、その流れで西のバラナシ、ブッダガヤ
なんかの宗教都市を巡る、そして最後は東の大都市コルカタでアウト。
(これはあくまで当初の予定で、結局コルカタまではたどり着けなかった)
成田から北京経由でデリーに行く。北京からの乗り継ぎ便を待つ段階ですでに
インドの旅は始まりつつあった。ラウンジには白い髭を蓄え、ターバンを巻いた
インド人と思しき御老人が一人また一人。
「おお、のっけからインドっぽい!!」
と思いつつ、インド人観察。そうやって時間を潰している途中、一人の日本人に
声をかけられた。女、すっぴん、眉毛が無いヒドイ顔。聞くところによると彼女は
東京の大学に通っているものの学生生活の大半をキャバクラと毎晩のクラブ
遊びに費やしてきたらしい。インドは2回目だというので彼女に色々とインドの
解説を受けることに。インドの事前知識は殆ど持たずに来たので「ほぉ」と頷き
っぱなしだった。まず、インド人のステレオタイプとも言うべきその辺にいる髭に
ターバンのおっさん達。彼らはシク教徒なる人々だという。インド人のイメージ
そのままだが実は彼らはインド本土ではマイノリティ。ヒンドゥー教徒ではない。
故にカーストにも属しておらず、インドにおいては特異な存在らしい。しかしその
インパクトたるやすごい。本土ではマイノリティかも知れないが空港内ではその
シーク教徒が目立つことこの上ない。
インドでの疑問その1
「空港には何故かシク教徒が多い→シク教徒は
海外に用事のある人間(理由は定かではないが何らかの理由アリ)」
今思えば帰国のときも空港ではシク教徒が多かった。これは謎である。
Wikipediaで「シク教」を検索してみたところ、
「公務員や軍人として登用されるなど社会的に活躍する人材を多く輩出し、
職務等で海外に渡航したインド人にターバンを巻いたシク教徒を多く見かける」
なるほど。ちゃんと理由があるらしい。要は職業柄海外に行くことの多い人
たちなのだ。しかしなんでまたシク教徒が・・。まあそのおかげ?でわかりやす
いインド人像が我々に植え付けられているわけだが。しかしこの人たちは見れ
ば見るほど不思議な人たちだと思う。彼らの顔を熟視していると色んな物語を
想像してしまう。彼らがコカコーラの紙コップを持ってただけで、
「うおっコーラ飲んでやがる!!」
などと思う。おれと同じ人間とは思えない。(事実、今まで生きてきたバックグラ
ウンドを省みるに、おれと彼とで同じ生物学上のヒトとは思えないほどの違いが
あるのだろう)それ程インドの宗教は神秘的だ。インドは色んな面で日本と異な
るが、おれがインドに来て一番興味を持ったのはやはり宗教。また後日書くつ
もりだが宗教にははまったし(入信はしてないです)やられた。自分が無宗教だ
から余計に。
デリーの空港に着いたのは深夜、とりあえず朝日が昇るまで免税店で購入
したタバコを吹かしつつ女のインド話に聞き入る。インド人の性質、ルール、
生活習慣などなど。彼女が前回にインドに来たときに訪れたのはデリー、
バラナシ、コルカタの3都市のみらしい。期間は1ヶ月程だったが、旅の途中
デング熱という恐ろしい病気にかかり、旅程の半分ほどを棒に振った。散々な
旅にも関わらずインドに舞い戻ったのは、それでもインドが気に入ったから。
眉毛ねえこの女もインドという国もただ者じゃねえと思いつつ夜は明け、デリー
市内へと足を向けた。
↑シク教徒。もっと年食ったおっさんは髭が真っ白。視線も遠くなり、
不可思議度が増す。↓
デリー
「デリーが好きだ」というインド旅行者は少ない。勿論インドの首都だし大概の
ものは揃うし地下鉄を始めインフラもまずまずでインドの中では最もオーガ
ナイズされた都市だ。中国で没収されたコンタクトレンズの保存液もすんなり
と入手出来た。(ドラッグストアにも関わらず大量のハエで不衛生だったが)
問題はデリーの人間。他都市へ出るための鉄道やバスのチケットを買うのも
デリーのインド人を相手にするとそれなりの時間を要する。おれも地図と時刻
表を提供しているといわれ、インフォメーションセンターなるものに行ってみた
ところ、いきなり旅の予定を聞かれ大まかに説明すると、やれその日は祭だ、
デモがあるだの何かと理由を付けて、鉄道が混むから今のうちに予約しろと
催促される。「じゃとりあえず、さっき言った旅程でかかる費用見積もって」
と言うと法外な料金。色々とケチを付けるとみるみるうちに言い値が下がって
いく。それでも高いので交渉もほどほどに偽インフォメーションセンターを後に
する。その後初日のインドで色々な押問答しながら、インド流を少しずつ学ん
で行く中で気がついたが気分が悪くなる程の悪人はなかなかいない。基本的
にぼったくって来るものの、無類のおしゃべり好きが多く、脱線して他の話に
夢中になると商売そっちのけ。中にはぼったくりのからくりの説明を始めて、
「おれの店は他に比べてぼったくってない方だからおれんとこで買え」
「おれが旅行代理店に日本人を連れて行くと50ルピーの仲介料が貰える。
何も買わなくていいからその店まで同伴してくれ。頼む。」
なんてぶっちゃける連中もいる。基本的にインド人としゃべって損はしない
印象。いろんな事教えてくれる。ただ、、、一番いけてるインド人は無口なやつ。
何か買うとき、お願いするとき、露骨に嫌な顔しながら面倒臭そうに
「ほら、そこにサインしろ。さっさとしろ。」
といった具合に仕事をこなすおっさん。
そんなぶっきらぼうな態度でありながら、明朗会計、仕事はパーフェクト
だったりする。これはインド旅行全般を通して感じた。
インドにおける信用度
『 雄弁(なおっさん)は銀、沈黙(なおっさん)は金 』
デリー→ジャイプル→アーグラのチケットを入手。2~300ルピーほど。
2007年現在1ルピー3円足らず。藤原新也の『印度放浪』では1ルピー
20円だか30円だかと記述があったが、両国の経済の趨勢が劇的に変化
したからか、印度でなんらかの通貨改定が行われたのか知らないが、
時を経て随分と円とルピーの関係が変わっていた。